ニコラ・プッサン《パトモス島の聖ヨハネがいる風景》

ニコラ・プッサン《パトモス島の聖ヨハネがいる風景》

作品図と詳細

ニコラ・プッサン《パトモス島の聖ヨハネがいる風景》

  • タイトル:パトモス島の聖ヨハネがいる風景(Landscape with Saint John on Patmos)
  • 作者:ニコラ・プッサン(Nicolas Poussin,1594 – 1665)
  • 制作年:1640年
  • 種類:キャンバスに油彩
  • 寸法:100.3×136.4cm
  • 所蔵:シカゴ美術館

解説

“哲人画家”二コラ・プッサンは17世紀フランスを代表する画家。1624年、30歳でローマに姿を現すまでの初期の活動についてはあまり分かっておらず、ルーアンやパリで修業時代を送ったようだが、古代美術や古典文学の伝統を愛し重んじたプッサンはその生涯の大半をローマで過ごした。ルネサンスやバロックの画家、特にラファエロの作品を研究した。

1640年、ルイ13世の招きでパリに赴き主席宮廷画家となるも、宮廷装飾の仕事になじめず2年後にはローマに戻った。その後、ローマを離れることなく、様式を成熟させた。古典主義芸術を確立したプッサンは、ダヴィッド、アングル、セザンヌなど後の時代の古典志向の画家に影響を与えた。

主題について

描かれているのはトルコ沿岸部に近いエーゲ海に浮かぶパトモス島に流刑にされた聖ヨハネがイエス・キリストから啓示を受けて黙示録を記している場面である。本作品の聖ヨハネは福音記者の使徒ヨハネであり、イエスに洗礼を授けた洗礼者ヨハネとは別人。使徒ヨハネのシンボルは鷲であり、座って書き物をする使徒ヨハネの後ろに鷲が描きこまれている。

ローマ帝国はパトモス島を流刑地としており、95年、聖ヨハネはドミティアヌス帝によってパトモス島に幽閉されたとされている。

本作品は福音記者を主題とした連作のうちの一つであり、ベルリン美術館所蔵の《聖マタイと天使がいる風景》(1645年)と対になっている。

表現について

ローマで活動を始めた頃のプッサンの作品には盛期バロックらしい激しい構図や表現が見られるが、1630年頃から次第に古典的秩序や幾何学的構成への関心が作品に表れ始め、1640年代初頭まではボローニャ派的な古典的風景画をいくつか制作しており、この《パトモス島の聖ヨハネがいる風景》もその一連の作品の一つであると言える。

プッサンが年齢を重ねるにつれて画面に占める風景の割合も増えてくるが、本作品では自然と人工物の形態が景色や奥行きの整然とした秩序を表現するために幾何学的な原則によって配置されている。

壊れた柱やオベリスク、ギリシャ風の神殿は古代世界の失われた栄光を表し、その風景に福音記者ヨハネを置くことで、古きものが新しきもの、つまりキリスト教の価値観に置き換わるということを意味している。

コメント

タイトルとURLをコピーしました