サセッタ《東方三博士の旅》

サセッタ《東方三博士の旅》

作品図と詳細

サセッタ《東方三博士の旅》

  • タイトル:東方三博士の旅(The Journey of the Magi
  • 作者:サセッタ(Sassetta(Stefano di Giovanni), c.1400 – 1450/1451)
  • 制作年:1433 – 35年頃
  • 種類:木の上にテンペラ、金箔
  • 寸法:21.6×29.8cm
  • 所蔵:メトロポリタン美術館

解説

サセッタについて

サセッタ(本名:ステーファノ・ディ・ジョヴァンニ)は15世紀シエナ派を代表する画家。シエナ生まれとされるが、父が「ダ・コルトーナ」と呼ばれていたことからコルトーナ生まれとも言われる。

サセッタというニックネームの意味ははっきりしておらず、また彼が生きた時代の資料ではサセッタの呼称は使用されていない。18世紀頃の資料からサセッタの名が登場しはじめ、この名で呼ばれるようになったようだ。

同じくシエナ派のパオロ・ディ・ジョヴァンニ・フェイのもとで修行時代を過ごしたと考えられているが、サセッタは伝統的なシエナ派の神秘主義的宗教性に同時代のフィレンツェ・ルネサンスで生まれた新しい表現を取り入れて独自の様式を築いた。

主題について

東方三博士(マギ)とは、ベツレヘムでイエスが誕生したことを星によって知り、星を頼りにイエスのもとを訪れたとされる新約聖書の人物。
マギは博士、天文学者、占星術師などと訳され、もとはペルシア系の祭祀階級の呼称である。聖書にマギの人数についての記述はなく、初期キリスト美術では2人や4人の図像が作られるなどばらつきがある。黄金、乳香、没薬を贈り物としてイエスに捧げたことから次第に三人であるという説が定着していった。
絵画での三博士はそれぞれ青年、壮年、老年の姿で描き分けられ、アフリカ、ヨーロッパ、アジアを代表する人物として人種の描き分けが行われる場合も多く見られる(青年を黒人として描く場合が多い)。

表現について

東方三博士が絵画に登場する場合、通常は礼拝の場面(Adration of the Magi)が描かれることが多い。三博士がベツレヘムに向かう様子を描いた《東方三博士の旅》は、もともとはシエナのキージ・サラチーニ宮殿の祭壇画である《東方三博士の礼拝》上部分にあたる。ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノの1423年の作品《東方三博士の礼拝》(ウフィツィ美術館)の影響があったと思われる。

サセッタは三博士の旅を現代風の行列として描いた。画面中央近く、黒い馬に乗り茶色の毛皮の帽子を被った人物はハンガリー王で神聖ローマ皇帝でもあったジギスムントであり、これは1432年のジギスムント王シエナ訪問があったためである。

ジギスムント王の後ろに続く馬に乗った三人が三博士であり、三博士を表すキリスト教絵画の多くがそうであるように、三人は青年、壮年、老人の姿で描き分けられている。

三博士の足元に光る星はベツレヘムの星と呼ばれ、イエスの誕生を知らせ、東方三博士をベツレヘムに導いたとされる星。キージ・サラチーニ宮殿の《東方三博士の礼拝》とセットで飾られたとき、この星がちょうど聖母マリアに抱かれた赤子イエスの頭上に輝くという構図になっている。

本作品はA4サイズ程の小ぶりなパネルだが、サセッタは様々な鳥を描きこんでいる。
ベツレヘムの星の右側に飛んでいるのはおそらくゴシキヒワで、受難や救世主を象徴する。ジギスムント王の左腕には鷹(あるいは神聖ローマ帝国のシンボルである鷲か)が止まっている。

丘の上には二羽のダチョウがおり、上空には六羽の鳥が羽ばたいている。描写からは確定しづらいが、ヨブ記にダチョウとコウノトリを対比する記述があるため、おそらくコウノトリを描いたものと思われる。

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